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思考は<ほとんど>現実を作る | 翻訳 |


記事中の「同型」は、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングにも影響しています。

 

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バーチャルな思考が生み出す現実
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恐怖との出会い

最近、アメリカに滞在中だった私たちのところに、ある若い女性がやってきました。彼女は、一人になる恐怖を抱えていました。彼女が抱える問題は、彼女が一人で隣町へ運転していくことすら難しいくらいの状況まで、すでに進行していました。症状の裏には、より深い恐怖があることがわかりました。死への恐怖です。 この恐怖は、彼女が子供だった頃、彼女の父親が、牧場で動物を屠殺するところを彼女に見せたことに端を発していました。そして、彼女の恐怖は、仲の良かった学生時代の友人が突然亡くなって、さらに強まりました。

その後、彼女は、この死への恐怖につながる感情の追体験を避けるために、解離や、「それらを頭の中から追い払う」などのようなことを試みていました。


― 中略 -


私たちは、自分自身の問題をはっきりと理解することはほとんどないと言っても過言ではありません。もし、私たちが自分自身の問題をはっきり理解していれば、問題は同じような結果を生み出しません。また、自分の地図(マップ)を豊かにするためにセラピスト(や人生)の助けも必要とはしないでしょう。

この女性は、死の恐怖から逃れようとするあまり、自分が逃れたいものと自分の人生の状況との間のつながりを見いだせずにいました。彼女は葬儀屋と結婚し、霊安室の上に住み、毎日死と悲嘆に囲まれていたのです!



古代哲学

多くの哲学、キリスト教や仏教を含む宗教は、「現実を生み出す思考の力」に言及しています。もし、現実が頭の中のみにあると信じるならば、この格言はわかりきったことでしょう。しかし、「現実」が物理的環境をも意味するとするなら、この問いは全く異なる質を持ちます。


いくつかの学派は、この考えを限界まで突き詰めて、「全ての物事は人間の思考の完全な現れだ」としています。私たちは、そちらのアプローチをとるのではなく、もう少し有効な問いかけを見つけました。それは、ただ、いかに、私たちの現実環境が、私たちの振る舞いや能力(または弱み)、信念、価値観、それから深いところにある前提を映し出しているか?ということです。


私たちは、思うようにある。 全て私たちは、思考の現れである。 思うことが、 私たちの世界を作る。 ブッダ “We are what we think.All that we are arises.With our thoughts.With our thoughts,We make our world.” The Buddha


過去、私たちは、自分自身でも、それからクライアントと一緒にも、「思考は現実を作る」という概念について研究してきました。私たちは、人々とその世界がいかに相互作用しているかを「システム反射原理(The Systemic Reflective Principle(SRP))」と呼んでいます。このモデルは、ロバート・ディルツによれば、N L Pの前提条件2つをまとめたものです。 「人生と心は一つのシステムプロセスである」と「地図(マップ)は領土(土地)ではない」がそれです。



自分自身や世界についての、私たちの信念、思い込みや前提の多くは意識されていません。しかし、それらは、私たちの意思決定、行動、反応、そして私たちが発する全ての言葉に影響します。それでは、数十年に渡る無意識のうちにある信念の影響は、何でしょうか?なぜ、ただそこから離れたいと願うことに、何度も遭遇してしまうのでしょうか? 例えば、虐待的な関係性から、すぐに、違う類の関係性に移れる人はどれくらいいるのでしょうか?



領土は地図に反映される?

すでに存在する自分の地図が自分の領土(土地)に適合しない場合、(それにショックを受けた後、)領土を自分の地図に合わせようとする反応があることにはお気づきでしょうか?


その結果、時間をかけて、領土は、自分の地図が反映されたものになるのです!


誰かを変えようと試みる時、私たちは通常、自分の地図における正しい行動を相手を確認させようとします。何か「いたずら」をした子供を親が叱るのは、その典型的な例のように思えます。


私たちは、すべての思考が、レンガやモルタル(といった物質)になるとは言っていません。しかし、人の思考の底に横たわるプロセス(経験課程)は、その人の人生の底を流れる構造に似ていることを見出しました。



人生のマトリョーシカ理論

ここで役立つもう一つのシステム的な概念は「同型」、または私たちが「人生のマトリョーシカ(Russian Doll)理論」と呼ぶものです。


これは、私たちの人生における日々の小さなドラマは、数ヶ月、数年、さらには一生をかけて起こる(そして繰り返し起こる)大きな出来事と同じ構造であるというものです。 交流分析では、これらのプロセス(経験課程)をラケット、ゲーム、人生脚本と呼びます。


セラピストとして、また経営コンサルタントとして、私たちは常に「クライアントは今、自分の問題や解決策の構造をどのように現しているか?」というフィルターをかけて(観察して)います。

クライアントは、しばしば、コンサルティングルームで起こったことと「その部屋の外」の問題との類似性を認識した時に、人生の中で何度も繰り返されているパターンについて深い洞察を得ています。

そういう時、新しい、より生産的な信念が生まれ、古い制限的な信念と置き換わることができます。


つまり、SRPとは、自らの(意識していない)地図を強化するために、私たちがパートナーや、住む場所、仕事や趣味を選んだりするという概念のラベルなのです。


死の恐怖を抱えるクライアントは、この投影タイプの典型例です。「もしも領土(土地)が地図を反映しているとしたら?」というフィルターに繰り返しかけることで、私たちは、人生の中心的な問題を解決するための便利な方法を見つけました。また、SRPは他にも様々な用途があり、例えば、個人の成長を測る外部基準として使用することもできます。



ブラインド・スポット(盲点)

このアプローチには他にも使い道があります。身の回りのパターンや構造を調べることで、何らか、自分の「盲点」を発見することができます。これらのパターンや構造は意識されておらず、そのため、コントロールすることができません。しかし、意識上にあげることができれば、私たちは、それらのパターンや構造を変化させることができます。さらに、人生を豊かにする素晴らしいプロセス(経験過程)が自然に始まることが多いのです。多くの元アルコール依存症患者が言うように、断酒会で「アルコールに人生を支配されている」と宣言してしまえば、彼らがどれだけお酒を飲み続けたとしても、お酒は二度と同じ味にはならないのです。


基本的な真理が一つある。 それは自分自身としっかり約束(コミット)した瞬間、 天(の摂理)もまた動くということだ。 ゲーテ "There is one elementary truth --that the moment one definitely commits oneself, then Providence moves too" Goethe



ANLPカンファレンスにて

もちろん、SRPの考え方は、(問題だけではなく)、人生のポジティブ面、生産的な部分にも応用できます。そこで、私たちは、1992年11月に開催されたANLPカンファレンスでセッションを行いました。デビッド・ゴードンの「意味のある存在モデル」に倣い、私たちは参加者に問いかけました。 「文脈を考えずに(答えてください)……あなたができないことは何ですか?はっきり言えば、もし、その特性を表現できないなら、あなたはあなたではないのでしょう。」 (回答での)コア特性(その人のシステムの中核の特性)の例としては、「正直でいること」「親切でいること」「几帳面であること」「寛容であること」などがありました。これらの特性は、とても本質的なもので、そこから逸脱すると、その人の内部にある(価値観)システムが、はっきり「逸脱している」と指摘します。まるで、嘘をつくことで正直さや本当の自分に戻ることを思い出させるリマインダーのように。もし、何らかの状況の下、あなたが嘘をつき、その嘘を無かったことにできるなら、正直さは、あなたのコア特性の一つではないでしょう。


また、私たちは、参加者に次のように考えてみてもらいました。

「もし、コア特性が、あなたが何者であるかを反映しているとしたら、コア特性は、人生の目的や使命を達成するための手段であるべきではないでしょうか? ですから、人生の目的を達成するということは、ただ、あなたがあなた自身になることです。」

そして、あるレベルにおいては、そうしないわけにはいかないのです。



人生の目的

人生の目的は、どこから来るのでしょうか(何に由来するのでしょうか)?ロバート・ディルツの論理的レベルのモデルでは、使命(ミッション)は、使命を超越した階層(レベル)の部分集合であり、霊的(スピリチュアル/ the Spiritual)なものです。この階層では、私たちは全員つながっています。私たちのワークでは、人々がこの霊的(スピリチュアル)なものとの「つながり」を体験するためのさまざまな方法を特定してきました。




人生についての考察

では、私たちが、常に、完璧に整合性が取れた状態で活動することを妨げるものは何でしょうか?

論理的レベルの視点から見ると、私たちの信念、能力、そしてそれゆえの行動は、私たちのコア特性と対立する可能性があります。そのため、自分が何者であるか(主体・アイデンティティ)が、世界に現れる前に歪んでしまうのです。


カンファレンスでの発表では、参加者が自分の人生にSRPが影響を及ぼしていることを体験するために、<人生についての考察("Reflections on Life ")>という練習課題を開発しました。


参加者は、自分が「できないではすまないこと」にSRPのフィルターをかけることで、コア・ビリーフ(信念)を探り、また、それが自分自身の物理的環境にどのように現れているか、そのつながりを探究しました。


それより前に行われた練習課題で、参加者は自分自身の精神的・使命的な状態(スピリチュアル・ステート/ミッションステート)にアクセスするように誘導されていました。その状態(ステート)に再び繋がった後、参加者は椅子の上に立ち、そこからの視点から、自分の信念、行動、環境を見直しました。そして最後に、そこから新しく学んだことを、以前の状態(ステート)に統合しました。


参加者からのフィードバックによると、自分の世界の地図が広がり、これまで考えていた以上に、コア特性は、自分の人生に影響を与えているかもしれないことに気づいた、つまりパラダイムシフトが起こったということです。



魔法のような思考

すべてのモデルと同様に、SPRの適用には限界があります。SRPを適用することで起こりうる望ましくない結果の一つに、<魔法のような思考>があります。<魔法のような思考>とは、信念について考えるだけで世界に善悪を顕現化できるという信念です。 例えば今回のアメリカ大統領選挙(1993年当時)では、ブッシュが勝つ原因を作らないように、「ブッシュが勝ったらどうしよう?」と考えないようにしているクリントン支持者に何人も会いました。似たようなこととしては、自分の健康に責任を持つことと、命にかかわる病気を「(自分が考えることが理由で)引き起こしてしまった」と罪悪感を持つこととは、全く違います。


付け加えるなら、私たちは、真空の中を生きてはいません。つまり、個人のSRPは、結果的に私たちの人生に影響を与える何千人もの他人との相互作用を通してのみ実現されるのです。とはいうものの、一個人の環境に影響を与える機会がより多いのは、自分自身ではないでしょうか? 私たちは、恋愛であれ何であれ、気まぐれにパートナーを選んでいるのでしょうか?それとも、自分の世界地図を維持するためにパートナーを選ぶという「感情の方程式」があるのでしょうか?


M・スコット・ペックは、『The Road Less Travelled』(道なき道を行く)の中でこう言っています。最も難しい変化の一つは、世界観または人生観を変えること(地図の深層構造を変えること)だと。そのため、この本のタイトルが暗示するように、多くの人がこのルート(道)を歩まないことを選んでいます。代わりに選ばれるルート(道)は、地図に合わせて領土(土地)を作る道です。


それと同様に、ホームレスや失業中の人に「自分の考えが現実を作る」と言っても、それは、彼らの世界モデルを認めることにはなりません。私たちは、SPRそのものもまた地図であると認識しています。それは<真実(the truth)>ではありません。これらの理由と、音韻的に曖昧な意味合いを持つことから、私たちは、本記事のタイトルに「Virtually(ほとんど、実質的には)」という言葉を挿入しました。悪夢を見たことがある人なら誰でも証言してくれるように、心は、結局、ほぼ完璧に近いバーチャルリアリティマシーンなのです。



What if? / もしも〜だったら?

実験として、第一知覚的立場(自分自身の視点と感情)から、少し前に、あなたの周りにあった問題を取り上げ、自分自身に次のように問いかけてみてください。


「私の環境(問題を含む文脈)の構造が、私の思考構造を反映しているとしたら、その環境構造は、私にどんな情報を与えてくれるだろう?」


そしてそれから、あなたが得たものに注目してください。


そこに、第2の知覚的ポジション(自分自身が環境であると想像してください)と第3の知覚的ポジション(システム全体の外側にあるメタ知覚)を追加すると、さらに得られる情報が増えるでしょう。どんな技術でもそうですが、練習すればするほど、その技術は「筋肉に定着」していきます。


充実感とは、本当の自分を世界に顕在化させることです。 デイビッド・ゴードン "Fulfilment is manifesting my true self in the world."  David Gordon


最後にー新しい始まり

さて、一人ぼっちになる恐怖を抱えた女性はどうなったのでしょう? 私たちは、彼女と一度だけ会ったその三ヶ月後の最近、彼女に連絡しました。まずは、この記事で彼女の話を使用する許可を得るためにと、そして、彼女がどのように進んでいるか、情報をアップデートするためにです。


「ひどい考えやパニック発作に支配されることはもうありません。私はただ、そのこと(ひどい考えやパニック発作)を(以前と)同じようには考えないようにしています」というのが彼女からの返答でした。この発想の転換の結果、彼女の環境は、文字通り、発展しました。落ち着いて一人で運転できるようになった彼女には、今、より多くの周囲の状況が見えています。そして、なんと、彼女は新しいビジネスを立ち上げていました!



© 1993, Penny Tompkins and James Lawley Translated with authors permission, by Yukari Ishii

 

翻訳に関してお気づきの点があれば、cleanjikkenshitu@gmail.comまでお知らせいただけると大変助かります。





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