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言葉を使わないクリーンランゲージ(2)|翻訳|

この記事は、Clean Language Without Words(Penny Tompkins and James Lawley)を翻訳したものです。



 

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翻訳|言葉を使わないクリーンランゲージ
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2. メタファーとしての体

クライアントの身体は、クライアントの知覚空間の輪郭を描き、知覚空間と相互作用するだけではなく、その他のあらゆる種類の象徴的(シンボリック)なメッセージも伝えてきます。時には、クライアントが特定の姿勢をとったり、特別な方法で体の一部を動かしたりした時にだけ、クライアントに情報がもたらされることがあるかもしれません。あるいは、特定の言葉が特定の動作を伴ってしか表現されないこともあります。クライアントの体のどの部分も、または、体全体も、命ある非言語的なメタファーとなり得るのです。

  • 顔の表情 (不機嫌になる、口角を上げる、ニヤリとする、顔をしかめる、顔を赤らめる、口をパクパクさせる、あくびをするなど。)

  • 体を使った表現や特異な動き (チック症状、ピクピクと動く、身震い、手を上に向けてすくめる、震え、異常な呼吸など。)

  • 自分の体との触れ合い (抱きしめる、こする、爪を噛む、親指をしゃぶる、眉間を拭う、髪を巻く、など。)

  • 物質との触れ合い (衣服を整え直す、枕を抱きしめる、ペンを噛む、宝石をいじるなど。)


クライアントの行動/振る舞いを、読み取るべき「ボディランゲージ」として捉えるというよりは、「象徴的(シンボリック)なパターンの表現」として捉えることをお勧めします(参考文献9)。 身体表現をクリーンランゲージの質問の焦点にすることで、このパターンを探究することができます。(通常は、比喩的(メタファー的)に、身体表現と同じ意味を持つ言葉での描写が現れます。)

例えば、あるクライアントは最初のセッションで、自分の苦境を1時間にわたって延々と語り続けました。彼は最後に「そういうことなんです」と言い、期待した様子で私たちを見ました。ペニーは、「そして、そういうことなんです。そして、そういうことなんですという時、そのそういうことなんですは、(例えていうと)何のよう(でしょう)?」と問いかけました。

彼は目をそらして頭を左に向け、あごを高く上げました。彼が質問を考えている最中に、彼の口は音を立てずにリズミカルに開いたり閉じたりし始めました。

ジェームズが「そして(頭の角度と口の動きを合わせました)、そして、(非言語で繰り返し)、その(非言語を繰り返し)は、何のよう(でしょうか)?」と質問した時、彼はまだ考えこんでいました。クライアントは何度か口の動きを繰り返し、それから、「僕はまるで酸素のない池で、酸素を求めて浮かび上がる金魚のような気分です」と言いました。

彼は自分の苦境をひとつの逆説的なメタファーで表現しました。そして、彼の体は、彼が何を言えばいいか知る以前に、メタファーを体で演じていたのです。 そして、ようやく、彼は、自分の描写の片隅で窒息しそうになりながら、ぐるぐると泳ぎ回るのではなく、メタファーを使ってワークできるようになったのです。

時に、クライアントが自分の体験を言葉で表現できないのは、その体験が、言語化される前にコード化(エンコード)されたものであったり、言葉にできないトラウマ的な出来事と関連していたり、神秘的な体験に結びついていたりするからです。そのような場合、クリーンランゲージでは、クライアントが言葉で表現する必要は全くありません。クリーンランゲージは、非言語的な行動を直接的に用いてコミュニケーションをとるための有効な手段となります。


3. 非言語的な音

私たちは、言葉を伝達するために使用されている声質と、声以外の音で表現されるものを聞き分けています。また、言葉が話される時は常に、その言葉と発音方法の両方が情報を持っています。言葉を生み出すために使われる声質を、(言葉そのものと)分けて扱うのは簡単ではありませんので、言葉が、(質問の中の)参照点(それについて質問する/質問の主語に使う)となります。

一方で、非言語的な音は、参照点、情報伝達、という2つの役割を果たします。

非言語的な音とは、ため息、息を吸う、喉を鳴らす、咳をする、息を吹く、クリックする、うめき声、うなり声、笑い声、ふう、あ〜、ん〜、などの非言語的な表現や感嘆詞などです。


デイビッド・グローブは、これらの音は、言葉や絵と同じ様に、象徴的(シンボリック)な情報の源泉だと認識しています。


さらに、非言語的な音は、通常、クライアントの意識の外にある知識をコード化(エンコード)しています。音は、シンボルそのものであると同時に、クライアントのメタファー・ランドスケープの中で、(クライアントが)まだ足を踏み入れたことがない領域への「入口」であると考えることができます。


音を一致させる 

NLPにおいて、クライアントの言葉や発音と(コーチやファシリテーターのそれを)一致させるのは、以下のための手法です。

- クライアントの経験に気づいたことを知らせるため。

- クライアントが自分の知覚に集中し続けることを促すため。

- クライアントの経験の構造に関する情報を集めるため。

  

非言語的な音について一致させる場合の運用も同じです。

しかしながら、もし、特定の音について問いかけたい場合は、その音をクリーンな質問内では「名詞句」として扱ってください。例えば、発言の前に大きなため息をつくクライアントは、以下のように問いかけられるかもしれません。

クライアント:

​[大きなため息]諦めます。

セラピスト :

そして、[大きなため息をまねる]諦める。そして、[大きなため息]の時、

その[大きなため息]は、どんな[大きなため息]でしょう?

クライアント:

[ため息]わかりません。

​セラピスト :

​そして、(あなたは)[大きなため息]わからない。

そして、(あなたが)[大きなため息]わからない時、

その[大きなため息]について他に何かありますか?

クライアント:

​(私には)言葉が見つけられません。

セラピスト :

そして、(あなたは)言葉が見つけられない。

そして、(あなたが、)[大きなため息]についての言葉を見つけられない時、(あなたが)見つけられない言葉について、他に何かありますか?

クライアント:

言葉に鍵がかかっているんです。


セラピストが、非言語的な応答と言語的な応答の両方を認知したことと、その際に、その両方共を役に立つ適切なものとして認識したことにお気づきになるかもしれません。  (この後)「鍵がかかっている」というメタファーについてこのクライアントが知っていることを発展させるにつれて、クライアントは、言葉の鍵を開ける方法を見つけ、それで、クライアントはこれ以上「諦める」必要がなくなったのでした。



時間を利用する 

非言語的な音を利用するもう一つの方法は、時間的な目印(a temporal marker)として、音を扱うことです。非言語的な音を参照点として、「時間を前に動かす」または「時間を後ろに動かす」質問を問いかけることが可能です。


時間を前に動かす例としては、「そして、[音を真似る]、そして、[音を真似る]と、それから何が起きますか?」があります。


時間を後ろに動かす例としては、以下に例をあげます。例の中のクライアントは、周期的に、歯と歯の間から息を吸っていました。 それ自体は特に目立った呼吸音ではありませんでしたが、ある程度時間が経過すると、その音は、続く質問を問いかけるよう、私たちの注意(attention)を導きました。

セラピスト :

そして、[音を真似る]、そして、[音]の時、

その[音]はどこから来ると言えますか/どこから来るのでしょう?

クライアント:

[長い沈黙]、なんてことなの(My God)、この音は、祖父が怒っている時に出していた音です。それで、祖父の歯は抜けちゃったんです。

セラピスト :

そして、その音は(あなたの)祖父が怒った時に出していた音で、彼の歯は抜けてしまった。そして、その音について他に何かありますか?

クライアント:

怖かったんですよ。 私は母の後ろに隠れることにしていました。

彼女は、(それまでも)この吸引音を発する癖のことを他人から指摘されてきていましたが、祖父との繋がりを見出したことも、その重要性に気づくこともありませんでした。クリーンランゲージは、その後、長い間忘れられていた祖父の入れ歯に象徴される、彼女の「対決から隠れる(hiding from confrontation)」パターンの探究と変容を可能にしました。



まとめ


象徴的に言うならば、クライアントが言ったりしたりする全ては、クライアントの経験の構造に関する情報です。そしてそれゆえに、その人が何者であるかということついての情報です。


クリーンランゲージを使ったクライアントの非言語的な振る舞いのモデリング(体系化)は、クライアントの在り方を認知し、「クライアントに」、自身の知覚世界を理解する方法を提供します。そして、「クライアントが」、適切な変化が起きるメタファー・ランドスケープを構築することを可能にします。一度メタファー・ランドスケープが生まれると、クライアントのそれは長きに渡って、クライアントに作用し続けることでしょう。彼らが、あなたのコンサルティング・ルームを立ち去った後にも。


クリーンランゲージが、言葉なしでも、言葉を伴う時と同じように効果的に作用するのは、注目すべきことです。クリーンランゲージは、非言語的な表現を直接的に利用する、または、非言語的な振る舞いからメタファーを引き出すことで間接的に利用する方法を提供します。どちらにせよ、クリーンランゲージは、「未探索で、未体験な行動の宇宙」に踏み入っていくために、非常に貴重(な質問)です。


 

非言語表現を利用するための

クリーンランゲージ ガイドライン


以下によって、非言語的なシンボルに言及する:


  • 選択的に、非言語的な音と身体表現をクライアントに合わせる。そうする限り、それは、クライアントが自分のプロセスにとどまり、自分の知覚に注意を向け続けることをサポートする。

  • クライアントのメタファー・ランドスケープの構造と一致する知覚空間を表すために、あなたの生理機能を部分的に使用する。

  • 特定の非言語的な音、非言語的な身体表現を、標準的なクリーンランゲージの構文(シンタックス)の中で名詞句(主語に使う)として使用することで、非言語的な音、非言語的な身体表現についてのクリーンな質問を問いかける。

「そして、[クライアントの表現を繰り返す]、  そして、[クライアントの表現を繰り返す](の)時、  [クリーンな質問]?」


以下の質問をそれぞれの用途に合わせて使用する:

  • メタファーのための質問


「そして、・・・・その[X]は(例えていうと)何のようでしょう?」

  • 特徴/性質を尋ねる質問


「そして、・・・・・その[X]について他に何かありますか?」

「そして、・・・・・その[X]は、どんな[X]ですか?」

  • 場所を尋ねる質問


「そして、・・・[X]はどこ(ですか)?」

「そして、・・・どのあたり(ですか)?」

  • 時間を前に動かす質問


「そして、・・・それから/すると何が起きますか?」

「そして、・・・次に何が起きますか?」


  • 時間を後ろに動かす質問


「そして、・・・[X]の直前/ちょうど前に何が起きますか?」

「そして、・・・[X]はどこから来ると言えますか(どこから来るのでしょう?)」



専門的なクリーンな質問を使って、視線経由で(非言語的な音に)触れる

「そして、あなたがそこ[そこを見る/視線に合わせてジェスチャーをする]へ行く時、

 あなたはどこへ行こうとしているのでしょう?」


 

©︎Penny Tompkins and James Lawley Translated by Yukari Ishii



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