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クリーンランゲージの原則|「クリーンであること」その4つの原則

  • 執筆者の写真: 石井ゆかり
    石井ゆかり
  • 5月28日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月30日

原文:Clean Language Principles – cleanlanguage.com 


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経緯とプロセス


2024年11月、世界のあちらこちらから40人のクリーン関係者が集まり「Leaders in Clean」という会合が開かれました。私たちが集まった目的は以下の3つです:


  • コミュニティがこれまでに成し遂げたことを振り返り分かち合う(celebration)

  • 現状を棚卸しする

  • 「クリーン」の未来に起きて欲しいことを思い描く


この集まりが生み出した成果の一つは、「クリーン」の基本原則を明文化しようという決定でした。集まりの後も、アイデアを形にするために有志のグループがオンラインでの話し合いを続けました。


私たちは、デイビッド・グローブがすでに、『クリーン・ランゲージの哲学と原則』を何年も前にまとめていることを理解しています。その上で、私たちが目指したのは、より短く、よりシンプルで、よりわかりやすい原則です。


作業を進めやすくするために、取り組む範囲を「クリーンであること(being clean)」 に関する観察可能な原則に絞りました。何度か議論を重ねた後、4つの原則に落ち着きました。 その後、原則案は「Leaders in Clean」の他のメンバーにも共有され、フィードバックをもとに、推敲を重ねました。


2025年5月28日、最終的に合意されたバージョンがクリエイティブ・コモンズ・ライセンス下で公開されました。このライセンスにより、この原則は、出典を明記の上で、誰でも自由に利用したり翻訳したりすることができます。また、必要に応じて原則を拡張したり発展させたりすることができます。 



考察


私たちは「クリーンであること(being clean)」を、「完全(純粋)にクリーン」な状態から「著しく誘導している」状態までの連続体として捉えました。 


クリーンな連続体
クリーンな連続体

「完璧にクリーンであること」を志すのは可能ですが、実際にそれを達成するのは不可能です。そのため、以降に示す原則は、連続体の終点「完全に(純粋に)クリーン」近辺にあてはまるように考えられています。


私たちは、信念(信条)や哲学を基にクリーンを定義するのではなく、行動可能かつ観察可能な原則を明文化することにしました。 そうすることで、「いつ、どの程度、クリーンであろうとするか」、もしくは「いつ、 クリーンとは違う手法でコミュニケーションするか」を、意識的に選ぶことができるようになるからです。


「クリーンであること」が常に有益なわけではありません。


また、 「クリーン」が良いもので、「誘導」が悪いものというわけではありません。


クリーンランゲージの価値は、文脈やその関わりの目的、判断を下す人の視点によって変化します。


それは、その時々の選択です。


このような考えを基に、私たちは以下の基本方針に沿って原則を編み出しました。 




基本方針 


  • まずは英語で記述する。

  • 原則の数は少数に抑え、簡潔で明快なものにする(その他の文脈や説明については 個別に提供する)。

  • 包括的で、よく知られたクリーンなプロセス*全てに応用できること。

    * クリーンなプロセスの例: シンボリック・モデリング、システミック・モデリング、クリーン・ス ペース、エマージェント・ナレッジ、クリーンランゲージ・インタビュー 


  • その人がクリーンな状態でやり取りしているか、その他の方法でやり取りしているかを観察する際に使用できること。


  • プロセス全体に適用する必要がないこと。「クリーンであること」が必要なのは、プロセスの一部のみであることもある。


  • 特定の用途のために拡張できること。(その際に追加される原則は、この4つの包括的な原則との整合性があることを期待する)。


  • 議論を深め、人々のクリーンに対する理解を深める礎となること。


  • すでに学術誌に掲載された論文と整合性があること。 



以下が私たちが考えたクリーンランゲージの原則です。 



クリーンランゲージの原則

 


その人が「クリーンである(being Clean)」のは 


  • 他者の経験*を他者自身が表現した経験のままに保持している時。

       *経験:メタファーや非言語表現も含まれる。 


そして

  • 概念・メタファー・判断・評価・仮定・推測の導入を控える時。


そして


  • 他者の経験を変化させる意図を持たずに、他者をその他者自身の経験に注目するように誘う時。


そして


  • 新しい内容(コンテンツ)を示唆しない言葉だけを導入する時。



Clean Language Principles © 2025 by Leaders in Clean

Developed by a core contributor group within the Leaders in Clean community.

Licensed under CC BY 4.0 





脚注


主な貢献者:

John Barratt, Lynne Burney, Pascal Clarkson, Noémie Dehouck, Tania Korsak, James Lawley, Lena Sobel, Annemiek van Helsdingen, With thanks to David Grove and the wider Leaders in Clean community for their inspiration, discussion, and support.


日本語版翻訳:

Hanayo Fujita(藤田華代)・Kyoko Kusama(草間香子)・Yukari Ishii(石井ゆかり)  

©︎2021 クリーン実験室 all right reserved.

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