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変化のためのクリーン・フレームワーク(3):A Clean Framework for Change|翻訳

この記事は A Clean Framework for Changeからの翻訳です

 

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変化のためのクリーン・フレームワーク_A Clean Framework for Change
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ここまではこちら…(1) (2)

 

<この記事の概要>

望ましいアウトカムを見極める

 



<ステージ1:望ましいアウトカムを見極める(明らかにする)>

■ステージ1の目的


変化のプロセスは全て、どこかしらから始まります。クライアントがどう始め、ファシリテーターがどう始めるかは、セッションのその後の方向性に大きな影響を与えることになります。


私たちは、デイビッド・グローブから、クライアントの最初の言葉に特別な注意を向けるようにトレーニングを受けました。

変化のためのクリーン・フレームワークでは、クライアントに「何が起きればいいのか」を問いかけることから始めます。一般的には、クライアントは言葉でそれに応えてくれますが、「クライアントがどのようでありたいか、また世界がどうあればいいか」を表現している音やジェスチャー、絵または他の何かのこともあります。


私たちは、「いかなる基準を満たすことも要求されていない状態で、クライアントが望ましいアウトカムを見極められる(明らかにできる)ようにファシリテーションする方法」を説明する術を知りませんでした。そこで、私たちは、どうすればクリーンにできるか、自分たちをセルフ・モデリングしました。その結果生まれたものが、「Problem(プロブレム)ーRemedy(レメディ)ーOutcome(アウトカム)モデル」です。頭文字をとって、PROモデルといいます。


このモデルの使用にあたってのポイントは、プロセス全体を通して、クライアントが現在のプロブレム、提案されたレメディ、または望ましいアウトカムに注意を向けているときに、即座にそれら(プロブレム、レメディ、アウトカム)を認識できるようになることです。そのためには、どんな経験にクライアントが注意を向けているのかを、クライアントの視点からモデリングする必要があります。


これは、シンプルなようで、そして、実際シンプルではありますが、経験豊かなセラピストやコーチ、ファシリテーターでも自然にできることではありません。もし、あなたがPROをマスターしたいならば、多くの(自分が持っている)前提、読心術(心を読む癖)を傍に避ける必要があります。そして、クライアント自身が説明に用いた言葉だけと、一生懸命、ワークする必要があります。


PROモデルは2段階のプロセスです。

  1. クライアントが述べているのが、プロブレム、レメディ、望ましいアウトカムのどれなのかを見極める(明らかにする)

  2. クライアントが望ましいアウトカムへ注意を向けるよう誘う適切なクリーンランゲージの質問で応答する

これについては、この後、もう少し説明します。


では今からは、望ましいアウトカムの性質と、プロブレムやレメディとの経験的、言語的な違いを考察してみましょう。



■望ましいアウトカムとは何か?


望ましいアウトカムは、クライアントが「世界がどのようであって欲しいと望んでいるか」、または、「自分は世界の中でどのようでありたいか」を説明しています。

望ましいアウトカムは、レメディとは異なります。望ましいアウトカムは、問題解決策ではないからです。パイロットがA地点からB地点へ飛行機を飛ばす時、パイロットには、途中で問題に遭遇する可能性があることがわかっていますが、パイロットの目的は、その問題を解決することではなく、「安全に(目的地に)到着すること」です。‥‥これが、望ましいアウトカムです。


望み(desire)を他者や自分自身に伝える最も一般的な方法は、言葉で語る(statement)ことです。しかしながら、望ましいアウトカムは、言葉(statement)の中にある言葉(word)以上のものです。望ましいアウトカムは、世界との関わり方なのです。


望ましいアウトカムの発言には、以下のような特徴があります。

  • 何かを望む言葉が含まれていること‥‥欲しい、必要、したい、など。それらの言葉は<何かを追加する方法で、世界を変えるための>新しい環境や状況、行動への欲求を含んでいる。

  • アウトカムはまだ起きていない。未来にある。

  • アウトカムは、はっきりとは問題に言及しない。


最後の特徴が重要です。


もしもあなたが、「自分はクライアントの問題を推測できる」と思っていたとしても、クライアントがそう発言したのでなければ、それはただ想像に過ぎません。仮に、クライアントが「もっと自信を持ちたい」と言ったとします。おそらく、あなたはクライアントの問題は、「自尊心が低い」か、それと似たようなことだろうと想像するかもしれません。しかし、それは、おそらくあなたの思い込みでしょう。「自尊心」や「低い」を表すメタファーがクライアント自身のイメージの一部だという兆候を指し示すものは、(クライアントの「もっと自信を持ちたい」という発言には)少しも表れていないからです。


例えあなたが、クライアントが「自信がないこと」で悩んでいると想像したとしても、まだ自信過剰でしょう。クライアントはただ、「もっと」自信を持ちたいと言っただけで、彼らに何かが「欠けている(足りない)」とは限らないからです。また、現在、クライアントがどの程度自信があるか(持っている自信の量がどれくらいか)が、クライアントにとって問題だとも限りません。もし、100メートル、200メートル走の世界記録保持者、ウサイン・ボルトが「もっと速く走りたい」と言ったとしても、彼が問題を抱えていることにはなりません。彼はすでにやっていることを、単に進化させたいのでしょう。


次に、もしも、クライアントが問題を経験しているとしても、クライアントは「欠けている(足りない)」というメタファーを通じて、その問題を考えないかもしれません。クライアントにとってその問題は、「怖い」または「荷が重い」または「ヤマネ(リスに似た小動物)みたいな気分」のものかもしれませんし、または…その他何千もの可能性があります。その多くは、あなたには想像もつかないのではないかと思います。次に、もしも、クライアントが問題を経験しているとしても、クライアントは「欠けている(足りない)」というメタファーを通じて、その問題を考えないかもしれません。クライアントにとってその問題は、「怖い」または「荷が重い」または「ヤマネ(リスに似た小動物)みたいな気分」のものかもしれませんし、または…その他何千もの可能性があります。その多くは、あなたには想像もつかないのではないかと思います。クリーンに、クライアントの言葉を大事にして、想像したり推測したりするのをやめるのは、それよりずっと簡単です。


クライアントに問題があると仮定したとして…クライアントの問題はこうではないかと推測しようとするには、時間と精神的な労力を要します。変化のためのクリーン・フレームワークとシンボリック・モデリングを使う時、より効果的なのは、「クライアントが語ったことに、あなたの注意を向けること」、そして、「特定の順番で並べられ、的確な方法で語られた(書かれた)わずかな言葉の中に、どれだけ多くの情報が含まれているかに驚かされること」です。


チャールズ・フォークナーの言葉を借りれば、それぞれの言葉の中には世界があります。私たちの目的は、クライアントがその世界に出向いていくことです。その世界は、「内側にある(inner)、秘密の(private)、一人称(first-person)の世界」です。なぜなら、この段階においては、クライアントの望ましいアウトカムは、ただ、クライアントの想像の中にだけ存在しているからです。


■望ましいアウトカムと、ウェルフォームド・アウトカム、SMART、BHAGとの違い

望ましいアウトカムの定義は、NLPのウェルフォームド・アウトカム、SMARTゴールやBHAGと似ているところがありますが、一つ大きな違いがあります。


それらでは、クライアントが述べたことが、十分に、具体的(specific)で、計測可能(measurable)で、現実的(realistic)で、達成可能(achievable)かどうか、または大胆(audacious)であるかそうでないかをファシリテーターが決定します。ファシリテーターが、具体的で、計測可能で、現実的で、達成可能で、大胆だと考えることは、他の誰かやクライアントが考えることと大きく違うことがあるかもしれません。また、必然的に、そこには、ファシリテーターの個人的な好みが含まれてきます。


変化のためのクリーン・フレームワークにおいても、ファシリテーターは(クライアントが述べたことについて)判断はしますが、個人的な好みではなく、クライアントの言葉と「文章に望む言葉が含まれているか、未来に設定されているか、問題への言及はないか?」という基準(the criteria)に基づいて、それが望ましいアウトカムかどうかを判断します。


私たちは、自分たちの定義が他のモデルより優れていると言っているわけではなく、定義に違いがあり、(私たちの定義は)よりシンプルで、結果的に、異なる結果が得られると言っているのです。


もし、大胆だったり具体的だったりという基準が、クライアントに適さなかった場合、クライアントはどうすればいいのでしょう?この場合、多くのファシリテーターは、(意図的にではないにせよ)、クライアントが、ファシリテーターの好みに合わせて言葉を変えるのを手助けすることになるでしょう。そして、多くのクライアントは、それに従います。少なくとも、従っているようには見えるでしょう。


基本的に、クリーン・フレームワークの目的は、クライアントが、クライアントのアウトカムを構成するものを、クライアント独自の基準で決定できる自由をできるかぎり残すことにあります。



■時間枠(タイム・フレーム)‥‥3ボックス・モデル


私たちの目的は、クライアントが望ましいアウトカムを見極める(明らかにする)のをファシリテーションすることですが、セッションが展開していくと、その他の関連があるアウトカムが姿を現すことが頻繁にあります。


3ボックス・モデルは、クライアントの望ましいアウトカムの変化(シフト)を追跡する方法です。そして、それは、アウトカムが起きる時間枠(タイム・フレーム)と関連しています。

  • 長期間に渡る

  • セッション後

  • セッション中

  • その瞬間

一般的に、クライアントのアウトカムにおける最初の時間枠(タイム・フレーム)は、セッション後、またはそれ以後に起きて欲しいことでしょう。


セッションが進むにつれて、クライアントは、より短い時間枠(タイム・フレーム)を使って望ましいアウトカムを表現するようになることが多いです。そして、やがては、その瞬間に「ライブ(live)で起きうる」何かとワークするようになります。 例えば:

クライアントの望ましいアウトカム

時間枠

幸せな人生が欲しい。

長期間に渡る

いつか結婚したい。

セッション後

どうすれば最初の一歩を踏み出せるか知りたい。

セッション中

今、決断する準備ができた。

その瞬間

短い時間枠を持つ望ましいアウトカムを促進する(encourage)しても、元々あった長期間のアウトカムを否定することにはなりません。ただ、注意が移り変わるだけです。短い時間枠のアウトカムは、マトリョーシカのように、長期間の望みの内側に入れ子になっていると考えられます。図2では、簡略化して、大きいボックスの中に、小さいボックスが入れ子になっている状態を示しています。

図2

私たちは、問題にフォーカスしませんが、解決策(ソリューション)にもフォーカスしません。私たちの定義では、解決策は、解決しようとする問題(と解決策の間)の関係性が維持されたままです。そのため、間接的に、問題へ焦点があたったままと考えるからです。また、一般的な意味での、ゴール(目標)やアウトカムにもフォーカスしていません。


変化のためのクリーン・フレームワークのアプローチが取り入れているのは、(アウトカムに焦点をあてるというよりは)アウトカム志向(アウトカムを追求する姿勢/outcome orientation)です。

そこにあるのは、一貫して、クライアントの望ましいアウトカムに向き合い、そこに注目する姿勢です。


私たちは、望ましいアウトカムを、動的な参照点だと捉えています。なぜならば、セッションが進行するにつれて、クライアントが望みを表す方法や望みの重点が変化することが多々あるからです。ファシリテーターは、それらの変化を追跡する必要があります。



■プロブレムには何が起きるか?


変化のためのクリーン・フレームワークはアウトカム志向の技法ですが、アンチ問題(問題反対主義/anti-problem)なわけでも、「ポジティブ」だけを追求しているというわけでもありません。…その正反対です。私たちは、問題は、人生を発展させていく上で、極めて重要な役割を果たしていると考えています。また、問題が取り上げられすぎているとも考えています。人は、通常、日常会話の中で、その人が抱える問題の原因や理由、特徴について語ることに非常に多くの時間を費やしています。その解決方法を考えるのに費やされるのはごくわずかな時間です。そして、「自分自身がどうありたいか、世界がどうあってほしいか」、つまり望ましいアウトカムのことを考えるのも、ほんのわずかな時間だけです。変化のためのクリーン・フレームワークは、このバランスの悪さを改善することを追い求めています。

私たちは、プロブレム(問題)を以下のように定義します。

その人が好まない困難。「困難(difficulty)」と「好まない」の両方を含むことが必須です。


<「何が問題ですか?」と人から問いかけられて語られる類の問題>と、<その人が「望ましいアウトカムを実現しよう」と一生懸命考えている時に浮かび上がってくる問題>とでは、かなりの違いがあります。

後者の問題を見極める(明らかにする)のに最も効果的な方法は、クライアントが「望ましいアウトカムのランドスケープを確立して発展させるのをサポートすること」と、「(もし問題があるのであれば)それが現れるのを待つこと」です。

また、クライアントが構築して整えている想像上で望む未来に介入する(妨げる/interfere)問題が現れることがあります。そういう時は、セッション中に「どのように問題が起きるか」は、クライアントの外の人生(現実の人生)で発生することの象徴(あるいはフラクタル)だと仮定できます。


変化のためのクリーン・フレームワークは、できるだけ速やかに、丁寧に、望ましいアウトカムを確立させることを目的としています。

言葉になった願いは、問題との関連性を検証する動的な参照点として機能します。

問題の取り扱いは、まず、問題を認識すること。そして、次に、いつ、どのように、問題に注意を向けるか。‥‥タイミングと文脈(コンテクスト)が全てなのです。



■レメディとは何か?

PROの初期バージョンは、PSOと呼ばれていました。Problem、Solution、Outcomeです。

しかしながら、私たちは、ソリューション(解決策/方法)という言葉が、自分たちがやり遂げようとしているのとは対照的なことと関連するものを想起させることに気づいたのです。そのため、Solutionから、Remedyに変更しました。


ソリューションとレメディには、それなりの役割があります。もしも、水道が水漏れしたら…修理しましょう。もしも、急な痛みを感じたら…どうにかして痛みを和らげましょう。しかし、問題が解決されたり、回避されたり、癒されたりした後に残ったものは、何だったでしょう?

一言でいうなら、何もない(nothing)です。


蛇口が修理されると、水道は元通りになります。そこに、変化の兆しはありません。頭痛が消えた時には、痛みが消えたことにすら気づかないかもしれません。そこには、ただ、「(痛みの)不在(an absence)」が存在するだけだからです。レメディは、問題を取り去り、減らし、取り除き、回避し、終わらせ、対処します。レメディは、レメディが適用後にクライアントの世界がどうなるか、その手がかりをほとんど提供してはくれません。


Remedy(レメディ)は、proposed remedy(提案されたレメディ)の省略です。proposed(提案された)は、レメディが、将来的な問題解決である可能性を示しています。つまり、レメディは、以前にうまくいった解決方法ではなく、まだやってみたことがない解決方法ということです。そして、レメディをある程度、やり遂げるための手助けを、クライアントは必要としています。


人生における重要な側面の多くは、修理できる蛇口の水漏れや、痛みを緩和できる頭痛のようではありません。グレゴリー・ベイトソンは、複雑で抽象的な現在進行形の状況に対して、こういった類の物理的なレメディやメタファーを使用すると、論理的な間違いが起きると指摘しています。麻薬、テロ、犯罪、貧困、癌その他抽象的な名詞に「戦争」を仕掛けるのは、政治的なレメディの例ですが、これは、私たち全員に重大な結果をもたらしています。


他の例としては、老化(エイジング)があります。化粧品会社は、人々に老化を、「アンチエイジング・クリームやサプリ、または手術などで避けることができる問題」として扱ってもらいたいようです。しかしながら、歳をとるのは人生の一部分です。たまには、老化を覆い隠すこともできるでしょう。けれど、歳を取らないようにはできません。ですが、代わりになる質問はあります。「私はどのように歳を重ねたい?」


西洋においては、みな、複雑な社会的、個人的問題は「一度で全て」解決できるという考えにはまり込んでいるかのようです。事故やシステムの不具合が起きた後、誰かがテレビで「二度とこのようなことが起こらないように致します」と言うのを、何度耳にしたことでしょうか。それは、高潔な志ではありますが、飛行機は墜落し続けるでしょうし、人間は恐ろしい罪を犯し続けるでしょうし、これからも予期せぬ事態が重なり合って、事故は起こり続けることでしょう。


このような長期に及ぶ関係性から発生した問題の多くは、おそらく解決できないでしょう。その代わりに、新しい種類の関係性を進化させたり、創造したりする必要があるのです。ケン・ウィルバーの言葉を借りるなら、これまでの問題を「超越し、包含する」ことができる関係です。変化のためのクリーン・フレームワークでは、第一歩として、「どのような関係性を望んでいるか」を思い描くところから始めます。


なお、ここまでの話は、このフレームワークは人生における「大」問題にのみ役に立つという話ではありません。このフレームワークは、実用的な願いにも活用できます。このフレームワークを使用して、時間通りに到着することを学習する人もいれば、子供の話に耳を傾けることを学習する親もいます。また、ビジネスプランを考案しているグループもあります。



 

©︎Penny Tompkins and James Lawley

翻訳:Yukari.I

 

<用語の翻訳について>

まだ翻訳が固まっていない用語、元の英単語が日本語では複数の異なる意味を持つ単語、かなり意訳している単語については、()でくくって元の英単語を表記しています。

また、同じ単語でも、クライアント側の体験とファシリテーター側の体験で理解が異なると思われる単語については、その時々の文章が、クライアント側の体験について書かれているのか、ファシリテーター側の体験について書かれているのかによって、訳を使い分けしています。この記事の中では、Identifyという単語で、それを頻繁に行っています。

より理解を促進するために、すでにクリーンランゲージを使用されている方で、翻訳がしっくりこないと感じる場合は、元の英単語も調べて、ご自身の体験と照らし合わせてみることをお勧めします。

 

誤訳にお気づきの方は、お手数ですが、


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