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変化のためのクリーン・フレームワーク(4):A Clean Framework for Change|翻訳

この記事は A Clean Framework for Changeからの翻訳です

 

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<この記事の概要>

 

■PROモデル

「何を問題(プロブレム)と考え」、「どんな解決策を提案し(提案されたレメディ)」、「どのような結果を望むか(望ましいアウトカム)」を決定するのは、ファシリテーターではありません。クライアントの言語(とそこに伴う非言語表現)が、その決定権を握っています。伝統的な診断技術のトレーニングを受けた専門家には、この制約を受け入れるのはチャレンジかもしれません。


私たちは、ファシリテーターが、「クライアントが望んでいること」を考慮せず、「ファシリテーターが中心的な問題と捉えていること」に焦点をあてることに、長い時間を費やしているセッションを数多く観察してきました。(クライアントが望んでいることの)手がかりは常にそこにありますが、ファシリテーターがそれを認識するためには、特別な傾聴(つまり、モデリング)が必要なのです。

この後の表は、クライアントの発言をプロブレム、レメディ、望ましいアウトカムを区別する方法です。(クライアントの発言が)そのいずれであるか見極めた後は、図3です。図3は、望ましいアウトカムにクライアントを誘うクリーンランゲージの対応を図解しています。

プロブレム

レメディ

アウトカム

定義

その人が好まない困難。

​問題が存在しないようにしたり、取り除かれたり、回避されたりするための望み。

​新しい何かが存在する望み。

基準

  • (状況としては過去に起きたこと、または、未来で起こるだろうことだとしても)現在抱える困難

  • その人がを起きるのを好まないことを示している(または好まないことが前提としてある)言葉や言い回しが含まれている。

  • 何かが変わることを望む発言はない。

  • ​まだ起きていない。

  • 問題に言及している。

  • 問題が変化する願いを含んでいる。

  • 何か(問題)が減る望みのことが多い。

  • 止める、失う(無くなる)、取り除く、排除するといったメタファーが含まれることが多い。

  • 「私は、[プロブレム]が欲しくない/嫌だ」のバリエーションのことが多い。

  • まだ起きていない。

  • 明らかに問題とわかることには言及していない。

  • 「新しい状況、状態、能力、行動や知恵/知識など」を、「欲しい、したい、必要としている」望みを含んでいる。 つまり、その人自身または世界に、何か新しいものが加わる(増える/add)望みが含まれている。

私はXが大嫌いだ。

Xは私を怒らせる

私はXが好きではない


(または、文脈の中に、Xが問題だという前提が含まれる。 例:もう、うんざりだ。)

私は X止める必要がある。

私は Xに消えてもらいたい。

私は X頻度を減らして欲しい。

X避けられたらいいのに。

Xいらない(欲しくない)。 Xにはどこかに行ってもらいたい。

​私はYが欲しい

私は、Yがしたい

私はYに…なって欲しい

私はYがもっと必要です。

Yがあるといいのに。

Yができるといいのに。


図3

デイビッド・グローブの質問「そして、あなたは何が起きればいいのでしょう?」は、この質問と同じ意味を持つ「あなたは何を望みますか/達成したいことは何ですか?」のような(セッションの)最初に使用される質問の数々に比べて、より許容的で、より押しつけの少ない質問です。この質問は、その人が答えたいようにどのようにでも答えられる自由を、クライアントに提供します。その答えが、「ウェルフォームド」やSMARTであるかどうかを気にする必要はありません。私たちは、クライアントに、その人にとって最も自然な方法で自分を表現してもらいたいのです。なぜならば、そうすることで、クライアント自身にもファシリテーターにも、その人の考えの背景にある構造が明らかになっていくからです。


最初の質問に対してクライアントがどのように応答しても、またクライアントが言ったことが何であれ、まずは彼らが口にしたそのままを認める(acknowledge)ことをお勧めします。その後、クライアントが注意を向けていることが、プロブレム、レメディ、望ましいアウトカムのどれを示しているかによって、(それぞれに対応する)適切な質問をしてください。


注目していただきたいのは、PROの質問「そして、[プロブレム]のとき、あなたは何が起きればいいのでしょう?」が、クライアントが問題があると考えている文脈があると明らかに認識し、彼らが定義したままに問題が存在すると示した上で、クライアントに「何を望むか」を考えるように問いかけていることです。


ファシリテーターは、問題を解決しません。リフレーミングもしません。また、いかなる方法でも問題を変化させようとはしません。その代わりに、私たちは、クライアントの中にある知恵を信頼します。「適切な次の一歩を踏み出すために自己学習したり、進化するためには、何が起きる必要があるか、またはその必要はないのか?」に気づく(discover)ためです。私たちは、変化が常にクライアントにとって最善の選択であることを前提とはしていません。そして、クライアントが「自分が最初に考えていたこととは全く別の何かを望んでいる」と気づく(discover)ことに対して心を開いています。(*追記


また、レメディに対してのPROの質問は、「クライアントの望む言葉を含まない」ことに注意してください。。これは、クライアントに「その人が提案したレメディが発生する」と仮定した上で、「そのレメディが起きたその後に何が起きるか」を考えてもらいたいからです。


ステージ1のまとめ:ステージ1は、クライアント(が述べたまま)の正確な言葉を使って、「認識(aknowledge)」し、「プロブレムと提案されたレメディに気づき(note)」、「そうするのが適切な場合はすぐに、望ましいアウトカムを見極められる(明らかにする/identify)ようにクライアントをファシリテーションする」ことについてです。

この時、ファシリテーターは、クライアントが望むことを実現するのに必要な変化を起こすことをサポートする「契約」を結びます。望ましいアウトカムの発言(statement)が登場したら、それは、クライアントがステージ2に移行する準備ができたという合図です。


 

追記

PROをコーチングセッション以外(例:管理職、教師、親など)の場面で使用する時に、特に重要なポイントは、「プロブレム(問題)の発言は、何かを変えようとする望みを含まない」ことを理解しておくことです。


プロブレムの発言は、シンプルに、その人の経験についての発言であり、(発言することで)その人は「問題を抱えている」ということをおそらく認識するでしょうが、それ以外には、どのような対応も求めていません。


もしも、親や教師、管理職などの人々が、特に、相手がそうとは言っていない時に、「相手は問題を変化させたがっていると想像しない」ように自分を訓練したならば、最も大切な関係性が変容するかもしれません。


例えば、あるティーンエイジャーが、親に向かって、「あれこれ言われるのに、うんざりしてるんだけど」と言ったとします。確かに、これはそのティーンエイジャーにとっては問題ですが、「何かを変えてもらいたい(どうにかして欲しい)」とは言っていません。もし、その子の親が、問題を解決することが自分たちの仕事だと思っていたら、何らかの解決法を提案するかもしれません。(その解決法は、おそらくは思春期の子供の問題をさらに悪化させてしまうでしょう!)


一方、クリーンっぽい会話的な対応はおそらく「そう。あなたは、あれこれ言われるのにうんざりしてるのね。それで(そして)、あれこれ言われるのにうんざりしてるときに、あなたは何が起きればいいの?」だろうと思います。


(訳註:クリーンな質問を日常会話の中で使用するときは、場面と関係性に合わせて、語尾の言い回しを変更してください。方言の中で使用するときは、方言の言い回しにする方が自然です。)



 

©︎Penny Tompkins and James Lawley

翻訳:Yukari.I

 

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<用語の翻訳について>

まだ翻訳が固まっていない用語、元の英単語が日本語では複数の異なる意味を持つ単語、かなり意訳している単語については、()でくくって元の英単語を表記しています。

また、同じ単語でも、クライアント側の体験とファシリテーター側の体験で理解が異なると思われる単語については、その時々の文章が、クライアント側の体験について書かれているのか、ファシリテーター側の体験について書かれているのかによって、訳を使い分けしています。この記事の中では、Identifyという単語で、それを頻繁に行っています。

より理解を促進するために、すでにクリーンランゲージを使用されている方で、翻訳がしっくりこないと感じる場合は、元の英単語も調べて、ご自身の体験と照らし合わせてみることをお勧めします。

 

誤訳にお気づきの方は、お手数ですが、


TOPページのcontactより


ご連絡いただけると幸いです。


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