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そして、デイビッド・グローブはどんな人?(1)

ペニー・トンプキンスとジェームズ・ローリーによるインタビューです。

(1996年)

「ある優しい妖精がランプの中から逃げ出した。 彼の名前は、デイビッド・グローブ。 そして、彼の魔法は、クリーンランゲージ。」 アーネスト・ロッシ


場面を想像してみよう: 何物にも変えがたいある11月の湖水地方の夜。

すっきりと澄み切った空を背景とした暗い山々。 なぜ宇宙で私たちが属する場所が、「ミルキー(milky:乳白色)・ウェイ」(天の川)と呼ばれるか言うまでもない。

湯気を立てたバスタブの水面からは、3つの頭が突き出ている。

突き出た頭の一つは、デイビッド・グローブ。現在、アメリカ在住のニュージランド人で、彼の定期的な巡礼の旅先であるイギリスで、癒しのリトリートとセラピスト向けのワークショップを行なっている。

彼は、私たちの内的世界の比喩的(メタフォリック)で象徴的(シンボリック)な本質とワークする独特な方法を開発した。 彼は、人間のメタファーとしてのより深い体験を描写する(人間の)魔法のような能力のプロセスの数々と、その構造について、さらに何か気づく度に、アプローチを頻繁に発展、改良している。


ペニー・トンプキンスとジェームズ・ローリーは、彼にインタビューしようとしているところだ。さあ早速、彼らが話していることを聞いてみよう。


ジェームズ:

あなたのバックグラウンドと、あなたがどのようにNLPに興味を抱くようになったかを知るのは、皆にとっての利益に違いないと思います。どこから(話を)始めたいですか?


デイビッド:

僕とNLPの付き合いの始まりは、1978年に遡るよ。最初、僕は、セラピーの側面で(NLPに)興味を抱いてはおらず、本当に、仕事のために必要としていたんだ。ある時、僕があるNLPのビジネス系のワークショップに行ったら、そこにいた人たちがこう言ったんだ。「まあ、ごめんなさい。十分な人数が集まっていないんです。他のグループに参加してください。」 そのようなことで、僕は最初に、恐怖症やトラウマ(心的外傷)に興味を抱くようになったんだよ。


ペニー:

当時、リチャード・バンドラー、ジョン・グリンダー、それから他の人たちのしていることの何が、あなたを魅了しましたか?


デイビッド: 人が経験で得られることについての全体的な概念と、その構造と、それからもし人がその構造を変化させればその経験が変化することを見つけたことは革命的だね。

経験が構造を持ち、その構造は分類でき、人は洞察したり、感情を追体験することなく経験を変化させることができうるという、まさにその概念。それらは、僕にとって、意味深い貢献だったよ。1970年代半ばからだね。それが、当時作られた重要なパラダイムシフトである「少年たち(the boys)」で、それで本格的にNLPが時流に乗り始めたんだ。



ペニー:

そして、あなたは仕事のために行き、そして、経験の構造に興味を持ちました。 次に何が起きましたか?



デイビッド:

次に、僕は、エリクソン催眠に大いに関わるようになったよ。

そして、僕は、僕がした鍵を握ることの一つは、小さな勉強会を始めたことだと思う。

僕らは6人だった。僕らは、2週間に1回集まり、そして、この専門(エリクソン催眠)の一部を検討しようとしたんだ。

僕らはそれぞれ、発表しようとしたよ。 それは、皆、そこに座って聞いていたのに、皆は僕が言った言葉を理解できないと、僕が気がついた時だった。僕は、「私たちは、全員、同じワークショップに参加していた、なぜ、彼らは私の言うことが理解できないんだ?」と思ったよ。


まもなく、僕は、自分が違う方向に動き始めていると気がついたんだ。その時には、はっきり識別するのが難しかったけれど、僕は、経験の異なる構造に興味を持っていたんだ。


その後、僕は、それ以来僕の事務所のマネージャーをしてくれている友人と一緒に、自分自身の研究に取り掛かったんだよ。僕は、ここ、イギリスを拠点に研究を始めたよ。そして、それは見事にうまくいかなかった。それが、トラウマ的な記憶と恐怖症状についての僕の研究の始まりだった。

そして、僕がアメリカに戻ると、ベトナム戦争全体のPTSD(心的外傷後ストレス症候群)が非常にピックアップされていた。僕が見つけだせた記憶を癒そうとする人々についての文献の中には、何もなかったんだよ。


ジェームズ:

あなたに、メタファーを使うパワーを知らせた特定の時期や出来事があったんでしょうか?


デイビッド:

いや、ないよ。デイビッド・ゴードンが本を書いたのは価値があると思うけれど、当時、その他には何もなかった。


ジェームズ:

あなたのメタファーを使った施術は、エリクソンや、デイビッド・ゴードンのメタファーの使い方と根本的に異なりますね。どのようにそれらは発展したんでしょう?


デイビッド:

僕は全員が記憶を持っているわけじゃないと気がついたんだよ。

だけど、たとえはっきりした出来事を思い出せなくても、その人たちにはその出来事についての感情は残っていたんだ。 そう、もし、君がはっきりした記憶を手に入れられなければ、他に君が手に入れられるものは何? それで、僕は何が起きているのか、とても注意深く観察し始めたんだ。僕は気がついたんだよ。もし、クライアントが話す時、僕が無理に話を押し進めようとしなければ、彼らは、自然に、自分の経験をメタファーを使って話すことにね。そして、それが、この研究はメタファーに作用されると僕が悟った時だね。そう、ここに経験を構築している他の方法があると理解したんだ。


僕は、メタファーは、研究するに値する完全なる言語だと結論を出したよ。それから、ついに、それはResolving Traumatic Memoriesという本になった。おや…、その本は、まだ今でも販売中だよ。


ジェームズ:

あなたは、クライアント生成のメタファーは自然に現れると言っています。体や内的に知覚する世界の中で浮かぶ象徴的な描写についてです。 それでは、あなたの施術(研究)の中で、メタファーの機能をどのように理解していますか?


デイビッド:

本質的には、メタファーがすることは、情報を運ぶことだね。メタファーはある源から情報を運んで、それを別のところへ伝えるよ。


「胃の中に結び目(こぶ)がある」という症状がある誰かを想像してみよう。そして、「クリーンランゲージ(clean language)」の使用を通じて、その人は、誰かがその人を殴ろうとしているのと一致した記憶を持つんだ。おそらく、その人は胃の中から結び目を取り出して、そして記憶の中で、その結び目は犯人の手にくくりつけられて、その人が殴られないようにできるよ。

こういう風に、そのメタファーをピックアップして、それが用事を済ませる記憶の中にそのメタファーを運ぶことで、そのクライアントは状況をうまく解決したよ。メタファーの情報には、(クライアントのその)記憶を変容させるメタファーが含まれていたんだ。


ペニー:

そのように、メタファーは、クライアントのトラウマ的な記憶の解決につながる情報を含む症状と関係していたんですね。そのメタファーは、問題の象徴であるだけでなく、解決へのヒントを含んでいますね。


デイビッド:

メタファーを使った施術は、自然な(心理的)退行につながるから、メタファーの周りをうろうろしているのは、いつでも「時の中で凍りついた」より若い時代のクライアントというメタファーの持ち主だよ。そんなわけで、「内なる子供」という概念が生まれたんだ。


ペニー:

当時、「インナーチャイルド」という概念を使っていた他の人たちとあなたとの関係性はどうでしたか?


デイビッド:

アメリカでは、チャールズ・ウィットフィールドがそのパイオニアだった。僕は、彼と一緒に仕事をしたよ。僕らは今でも友達だ。

クラウディア・ブラックはACOA(子供のアルコール中毒)について研究していた、それから、アリス・スモールは近親相姦について本にしたよ。

アメリカでは、おそらく僕は、臨床面においてはパイオニアだと思う。僕は、ただ何もないところから始めて、1980年代後半当時、すごい数の聴衆を集めていた。たくさんのメタファーと内なる子供が、解離された断片のように思われたよ。


それで、僕は、2年間、沈黙を守ると決めたんだ。僕は解離と断片化(フラグメンテーション)を研究するためだけに、教えるのをやめたんだ。そして、それが僕が自分の家でリトリートを始めた時期だよ。僕は、自分の研究には2年かかると考えたけれど、その研究には、もっと長い時間がかかったし、それは、より新しい内容をもたらしたよ。



ペニー:例えば?


デイビッド:

僕は発見したよ。 例えばもし、君が誰かをトランス状態に入れたら、その人は退行して子供時代に戻るって。

もし、その人が目を開いたままにしていて、君が彼らが注目して見ている場所をたどるなら、その人は、その人の知覚空間において、何もないところから現れる世界に辿りつくよ。

そして、目を開いた時、人は実在の妄想への出入りを選択できるから、彼らはよりコントロールする力を持つよ。これは、内部からメタファーを生成するためにクライアントとワークすることと反対のものだったので、よくない気づきだったよ。


目を閉じたクライアントは、外界とコンタクトしない。

だけど、クライアントが目を開いたままにしている時、君は彼らの「視 線 (line of sight)」が、クライアントの内的な知覚空間に手がかりを与えるのを目撃することができる。これは、目の動きやその他小さな手がかりをより理解するための文脈(コンテクスト)、内的なランドスケープがあることを除けば、NLPの内容と似ているよ。


ペニー:

「内的世界」を見るために、目を開けておかなくちゃいけないなんて、皮肉だわ!


これが、あなたが人間の知覚空間、内的なランドスケープは、配置できうる(マッピングできる)と気がついた時ですか? 私は、あなたと一緒にした自分自身のワークで、メタファーを描いて、それらの位置を定める(マッピングする)ことが、本当にナビゲーションの援助になるということを知っています。そのワークは私が、自分自身のプロセスを辿り続けるのを助け、新しい視点をもたらしました。


デイビッド:

僕はそれを「認知的マッピング(コグニティブ・マッピング)」と呼んでいるよ。

そのマップは、クライアントの外的世界と内的世界の接点だ。そのマップは、両者の現実を仲介(媒介、調停、間に入って解決)するよ。


メタファーがもたらす一つの経験を顕微鏡で眺めたような視点と、マップがもたらす経験全体の構図には大きな違いがある。その実情を知って、僕は本当に驚かされたよ。



ジェームズ:

先ほど、あなたはセラピストによる「クリーンランゲージ」の使用について触れましたね。

これは、あなたの研究の中心のように思われます。

クリーンランゲージがとても重要だというその考えをあなたに教えたのは何だったんでしょう?そして、きっとあなたはクリーンランゲージの定義を話したいに違いないと思うんですが。


デイビッド:

僕は、他のセラピストの施術を見ていたんだよ。僕は、なぜ、彼らはその質問をしたのだろう?と不思議に思ったんだ。

僕は、著名なセラピスト、例えば、バージニア・サティアやカール・ロジャーズのような人たちが使った質問を分析し始めた。そこから始めることにしたのは、僕が、彼らは莫大な経験を持っていると思ったからだよ。

しばらくした後、僕は、おや……、と気づいたんだよ。それらは、彼らの世界観、彼らの妄想から現れているんじゃないかと。


僕が本当に「ロジャーズ派」!だと思ったカール・ロジャーズを見てみよう。

僕は、彼が人々を変え続けたという意味で、ロジャーズの言葉はクリーンじゃないと気がついた。


彼は、現在において過去形を使った。それから、未来形を使って、クライアントを現在に戻した。 そして、彼は頻繁に、何であれ誰かが言ったことを言葉で再定義したんだ。彼は、クライアントが使った言葉を誇張したり、再定義した。


そうそう、君がそれをする時、クライアントの経験のいくつかをクライアントから奪うよ。


僕は、いかなる前提条件も持たないで問いかけられる質問を知りたいと思った。エリクソンは、クリーンな言葉を使わなかったけれど、少なくとも、彼は彼の言葉に前提条件があると自覚していた。

それから、僕は、ニュートラルで、クライアントのプロセスを妨げない6つの基本の質問セットを思いついた。そして、その質問は全て、「そして(で)」(And)という接続しから始まる。……「そして(で)」がすることは、トランスを促進することだよ。だから、クリーンランゲージの使用は、誘導なしで、非常にトランスに誘導するよ。それは、自然な誘導だよ。どうしてかというと、その質問は、クライアントの体験から彼らを引き離すものじゃないからね。


その質問は、クライアントの体験のメタファー的な部分に照準を当てるよ。だから、彼らは、通常の認知プロセスを通らないんだ。



(2)に続く



 

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