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1998 デイビッド・グローブかく語りき(2)【翻訳】:A 1998 talk by David Grove


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この記事は、A 1998 talk by DAVID GROVE (編集:ジェームズ・ローリー)の翻訳です。

 

つまり、発言(発話/statements)の数々は、クライアントが、自分が何を言っているのか理解する前に、口から飛び出すのだと思います。そういう現象は、あなたも体験したことがあるんじゃないかと思いますよ。

…[クリーンな]質問を問いかけられたことがある人にしか、わからないとは思いますが。


言葉が現れ、自分自身が口にしたことを(自分の耳で)聞いたとしても、後から振り返ってみるまで、それが何かはわからない。なぜなら、あなたは、[問いかけられるまでは]その経験に関しては、ある一定の知識だけしか持っていないのですから。クリーンランゲージの質問に対する答えのほとんどは、暗黙知(自分が知っていることを自分が理解していない知識や情報)の範疇に入ると思います。


私が考えるのに、クリーンランゲージの質問たちが(している)活動(働き)や作業(actions and activities)の一つはね、質問たちが出かけていって、そして、その人が認知的に知っていることではなく、情報の源泉に導かれていくことです。そして、だからこそ、自分が口にする言葉が形を持った時に、自分でもびっくりするのです。


つまり、暗黙知[にたどり着くのです]、それは、今日、みなさんが体験した興奮(the excitement)の一部です。そして、それは、みなさんが問いかけるのを楽しんでいる質問の構文(シンタックス/the syntax)と文法ですが、それ(構文と文法)が情報をもたらし、そして、その情報はクライアントにとって新しいものなのです。


もし、「では、それについて聞かせてもらえますか」と質問を問いかければ、クライアントは、自分がすでに知っていることを語ります。

クリーンランゲージの質問をすれば、質問はある場所(a place)へと出向き、そして、クライアントの意識外にある(クライアントの意識上にはない)情報をもたらします。つまり、その情報は、クライアント自らによって発見される暗黙知で、それは、通常は、事が起こった後にしか (後天的/a posteriori)、つまり、表現された事実からしか知り得ないものなのです。クライアントは自分が表現したことを耳にして、そうして、自分が言ったことが何だったかを理解するのです。


つまり、通常、クライアントは、自分が何を言ったかを理解するのがほんの一瞬、遅れます。クライアントが言ったことは、その人が初めて耳にすることだからです。それで、私は、それは、クリーンランゲージ特有の繰り返しや文法が扱っているのは、そういう類の情報だと思っています。そして、みなさんが得る情報が新しいものなので、強い影響力(what makes it compelling)があるのだと思います。情報はすぐにわかるものではありませんが。それは、パズルのもう一つのピースで、それをあなたは見つけるのです。


そのピースは、私が考えていることの一部、つまり、どのように私たちが自分の世界を構築しているかという素晴らしい内的組織の一部であり、私たちには、その断片[だけしか]見えてはいないのです。そして、何人かの方はすでにそうされていましたが、もしもあなたがこれらのピースを一つに集めることができれば、それは、マッピング(写像)の一部です。そこにはこの組織と論理の素晴らしい美があり、それが、深淵な知識のかけらに降り注ぐのです。


そしてつまり、これらの質問の根底を流れているのは、つまり、[私が]問いかける時にいつも考えているのは、「そこに、その下には、どのような美しい構造が横たわっているだろう?(what kind of beautiful structure lays underneath there?)」ということです。私はいつも、その上にある、どうにも関係ないように見えるぎざぎざした小さなかけら達(jagged bits)を眺めています。でも、それらのかけらの数々が持つ情報の意味を下へ下へと拡張できた時、私たちは、そこに、この素晴らしい相関的なデータベース(relational database)があるのを見つけることができ、これら全てが理解できるのです。ですが、私たちがそこに近づくことはありません。私たちはただ、自分に拾える小さなかけら達を眺めているだけだからです。


この面白い話し方は、誰かの心や不安の一番近いところに話しかけるのです。そして、こういった情報の一部を呼び起こすことができるのです。

そして、(クリーンランゲージが)こんなにも繊細なプロセスであるその理由は、情報の一部が、その情報が誕生した年齢と直接的に関係しているからです。もしも、あなたが、孤独やためらい、または恐れや不安など、ある特定の感情を持っているとしたら、通常は、それは、文脈的に関連しています。

つまり、あなたが2歳の時に初めてその感情を抱いたとして、6歳の時にその感情を抱いた場合に比べてみると、(2歳のあなたが)その感情を表現できる言葉数は(6歳のあなた程には)多くはありません。


ですから、最初に問いかける質問の多くは、非常に繊細で一時的な仮の質問(delicate and tentative question)にならざるを得ません。なぜなら、あなたが得る情報が、何歳の時に誕生したものなのかがはっきりわからないからです。

その中には、単に言葉がないだけのものもあります。

それから、あなたが質問を問いかけると、質問がどこかに行ってしまうのを見ることもあります。なぜかというと、質問が、出口を見つけようとしているとても可愛らしい子供をその気にさせる(induce)からです。

そして、これは、あなたが質問を問いかけて、誰かがそれに即座に答えた場合とは大きく違います。…(この場合、)相手は大抵、その情報をすでに知っています。

そしてもしも、あなたが質問を問いかけて、相手があなたを直視し、アイコンタクトをとってきたら、その時点で、[それが、より認知/認識されている情報だと]ほぼわかります。



私は、クリーンランゲージを通じて引き出されるものの本質/性質(the nature)についてのこの哲学的な思考には、ある程度の力学があると考えています。


一番は、言葉の身体性です。(言葉の)繰り返しはとても重要です。繰り返しは、実際、いわば薬物反応と同じだと考えています。薬物が純粋な形で摂取されることはなく、アルコールであろうが錠剤であろうが、必ず(何らかが)削られて(being cut)います。では、何によって削られているかというと、不活性物質です。私たちが質問しているとき、有効成分の周りにはたくさんの不活性物質が詰まっています。


そして、その岩のような岩があるとき(に)、その岩のような岩は何をすることに興味があるのだろう?

(And when there is a rock like that rock, what would a rock like that rock be interested in doing?)

訳註:太字は翻訳者追加。

つまり、有効成分は、「する(doing)」という一語のみです。もし、あなたが、「さて、岩(the rock*)は何をしたいのでしょう?」と問いかけたなら、その岩(that rock*)に話しかける(扱う)場合と同じようには感じられません。あなたは、theという定冠詞のついていない(特定の)岩(the rock)に話しかけます。

そして「the(定冠詞)」を外す理由ですが、「the 岩」ではなく「岩」とだけ、その岩(that rock)を呼べば、岩はより個人的なものですし、その人の自我状態とは分離されたものとしてのその人と岩の間の結びつき、岩とその人の間の転移と逆転移が強化されるからです。


*訳註:theとthatの違いについて。the は特定された物事や人物を指す時に使われる定冠詞。that はそれが今話題の対象になっている時に使われる指示形容詞。



 

デイビッド・グローブ


2008年に急逝するまで、数々の治療法を考案し、アメリカ、イギリス、フランス、そして出身国であるニュージーランドでトレーニングセミナーを開催した。1989年、B.I.パンザーと共著で「Resolving Traumatic Memories」を出版。クリーン・ランゲージ、クリーン・スペース、エマージェント・ナレッジ、その他多くのプロセスの創始者。

 

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