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REPROCess:注意のモデリング(2)|翻訳|

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シンボリック・モデリングの開発者、ペニー&ジェイムズ夫妻による、シンボリック・モデリングの手順の中で使うREPROCessモデルについて説明です。(2)では、NLP(神経言語プログラミング)のSCOREモデルとREPROCess(リプロセス)モデルの対比により、よりREPROCessのそれぞれの分類の細かな部分の説明がされています。 NLPとシンボリック・モデリングは使用する用語がかぶりますが、その用語の定義が少しずつ異なることなどにも触れられています。


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SCORE

1992年、カリフォルニアのサンタクルーズで、ロバート・ディルツとトッド・エプシュタインはSCORE(Symptom 症状、Cause 原因、Outcome アウトカム/望み、Resource リソース/資源、Effect 結果)を紹介しました。私たちは、彼らのモデルを何度も利用しましたし、SCOREは、REPROCessの思考の土台となりました。NLP百科事典(Dilts & DeLozier, 2000, pp.1155-1178)は、SCOREによる分類を以下のように定義しています。

<Symptom / シンプトン(症状)>

現在の問題の中の、最も顕著で気づきやすい点

<Cause / コーズ(原因/根拠)>

症状を生み出し持続させる要因となっている根底にある要素

<Outcome / アウトカム(望み)>

症状の代理となれる特定の状態または振る舞い

<Resource /リソース(資源)>

症状の原因を取り除き、望ましいアウトカムに到達しそれを維持する要因となる根底にある要素〔技法も含む〕

<Effect / エフェクト(結果)>

特定のアウトカムを達成するより長期的な(ポジティブなまたはネガティブな)結果 SCOREはしばしばタイムライン上で表されます。





SCOREとREPROCの比較対照

SCOREとREPROCを比較対照すれば、多くの類似点とある決定的な違いに気がつきます。

SCOREにおけるシンプトン(症状)は、REPROCessのプロブレム(問題)とおおよそ一致します。

コーズ(原因/根拠)は、REPROCessのエクスプラネイション(説明)の分類の中に含まれます。しかしながら、私たちのモデルにおいては、原因(cause)は症状の理由となる必要はありません。人間は、経験のあらゆる面について因果的(causal)な関係性を見いだしますし、また頻繁にそうします。リソースは根拠(cause)を持ち得ます、そして、レメディ、アウトカム、そして、チェンジもそうです。エクスプラネイションですら根拠(cause)を持ち得ます。また、はっきりした理由(causal)がない説明も多く存在します。

例えば、後述する逐語録の中では、クライアントは「もっと一日一日を経験したいって言う時、それが本当なのかはっきりしない。自分が一日を短くしようとしているんじゃないかと、うすうす感じています。」と説明しています。(3行目) 彼もしくは彼女は、「はっきりしない」と説明しています。これは、原因(根拠)と結果についての発言ではありません。どちらかといえば、これは、クライアントが望まない問題と彼らが求める望ましいアウトカムをはっきりさせる重要な一歩にあたります。

アウトカムは、PROモデルではNLPで通常使用されるウェル・フォームド・アウトカムよりも広義で簡潔な定義を持つということ以外は、上で述べたように、双方のモデルで似たようなものです。私達は、望ましい(desired)アウトカムと実際の(actual)アウトカムが作られる間には、重要な差異があると考えています。何か変化が起きる前、ただ望ましいアウトカムだけがその時点では存在します。実際の(actual)アウトカムは、たいていの場合、セッション後、それもずっと後に生まれます。最後に、私達は、アウトカムは「症状の代わりとなるもの」である必要はないと考えていて、それよりむしろ、アウトカムは症状や問題への言及なしで新しい何かを生み出せると考えています。

リソースは、両方のモデルで同じような経験を指しています。唯一の違いは、REPROCessにおいては、経験がリソースフル(リソースに満ちている)であるかどうかは、クライアントの視点から決定されるべきであるというところです。SCOREでは、リソースはファシリテーターによって決定され扱われる技術を含んでいる場合があります。REOROCessの最初の「R」の文字にはそれは含まれていません。

エフェクトは単体の分類としてはREPROCessには登場しません。私達は、(REPROCessの)2つ目の「e」をエフェクト(effect)に当てるか検討しましたが、そうは選択しませんでした。第一の理由は、アウトカムだけでなく、全ての分類に結果があるからです。特に、変化しない現在の問題的状況はまた、変化を追い求めるその人が主に誘引したひとつの結果だともいえるでしょう。次に、ある点では全てのことに結果があります。SCOREにおいてさえ、症状は、原因や、リソースを適用しアウトカムが発生した結果です。結果を出すことよりもむしろ、結果の探求という経験の分類がシンボリック・モデリングの手順(プロセス)の中の段階としては、より良いと私達はみなしました。それで、SCOREの中には登場しないREPROCessの2つのカテゴリーのうちのひとつとしてレメディを残しました。

私達の定義では、レメディは問題を解決するための提案です。ウェル・フォームド・アウトカムモデルの基準の遵守は、事実上、提案されたレメディを追いやります。これは、レメディが、ほとんどのセラピーやチェンジワークで、最も一般的な出発点であることを考えると奇妙です。レメディを追放する代わりに、シンボリック・モデリングではレメディを認識し、その中に含まれるメタファー(レメディはほぼメタファーを含みます)と、レメディが私たちに教えるクライアントの内的世界が体系づけられている方法に注目します。さらに、レメディは機能しそうにない事、そして、どの点にアンテナを張ればいいかの手がかりを与えてくれます。言い換えるならば、ポール・ワツラヴィックが「レメディはプロブレムだ」(Watzlawick, et. al., 1974)と言ったように。

その他、SCOREにはない分類はチェンジです。ファシリテーターが自然に起こる変化にアンテナを張らない限り、それは小さな変化で、だけれども、彼らとそしてクライアントが通過するのは、潜在的に重要な変化です。私達は、ファシリテーターが、“たった今”のクライアントの変化している何かを示す、微細なことがしょっちゅうの手がかりを聞き取るのを励ますために、この分類(チェンジ)を付け加えました。REPROCessでは、チェンジを除く全ての分類は、クライアントの「現状」、つまり、「今ここでクライアントにとって真実であることをまとめたもの」(Fritz, 1989)と一緒に作られます。チェンジは、異なる現実との間の敷居です。クライアントの何らかが変化することによって、彼らのREPROの(モデルの)の変化とその結果が、新しい現状になります。

図1が示すように、SCOREの分類はしばしば、時間と関係づけられて構成されています。これは、直感的な感覚を生みますが、時間は、一般的なモデルであるにもかかわらず、クライアントの個々の世界観が定めるモデルです。私達はもし、タイム「ライン(線)」を前提条件としなければ、ある人々は、彼らの内的世界内の時間構造を、極めて創造的な方法で抱くことに気がつきました。

例えば、アリストテレスの四原因説の2つは、現在のそれから未来の、目的因の作用としてあるように見えます。古典的な時間構造を前提条件とするより、私達はむしろ、クライアントがまっすぐな前ー間ー後モデル(Before-During-After model)を使って、クライアントが時間について考える個人独特の方法をモデルできることがより良いと気がつきました。 (Lawley & Tompkins, 2000)

REPROCessは、分類を空間化し、クライアントが状態の間を肉体的に動くものも含めて、SCORE的な技法に適用できると思われます。REPROCessは、デイビッド・グローヴの発明したクリーンスペースと結合される時、特に効果を発揮します (Tompkins & Lawley, 2003, 2009)。REPROCessはもともと、ファシリテーターが、クライアントが何に注意を払っているかに注意を払うのを促進するために設計されたからです。


著者:James Lawley and Penny Tompkins 翻訳:クリーンランゲージ翻訳プロジェクト

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